心と思考 〜 四十にして惑わず 喜びをもって生きる 〜

中年サラリーマン技術者の心の学びの記録

【読書録】人は死なない ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索 矢作 直樹

 

 

受講している心のセミナーの推薦図書として紹介されており、半年ほど前に読んだ一冊。

著者が医療の最前線で仕事をする中で、科学では説明ができない数多くの体験をし、生命の神秘、摂理への感性、思慮を深めていく過程が記されている。

『科学が解明できる真理は絶対的なものでなく、その時代の科学技術で得られたその時点での真理であり、時代の変遷とともに変わり得るものである』という言葉は、確かにそうだと頭を打たれた感覚であった。

自分も理系の大学を出て、技術者として仕事をしてきた中で、自然科学への信仰が凝り固まり、大いなる力、摂理への敬意が薄まり、科学で説明できないことを盲目的に疑うようになっていたように思う。


日本人の教育、宗教感的に、幼い頃から大いなる力の存在を信じるというのは自然なことで、自分も潜在的にはそういったものを信じている自覚はあるが、意識的に科学的でないことを信じないようにしているふしがあるなぁと思った。

悪い行い、良い行いは神が見ており、自分に返ってくる。科学的な根拠はないが、こういった道徳心というのは大切で、科学を盲信することはある種の傲慢さがあり、良く生きる上での危うさを持っている気がした。


人の肉体は死により消滅してしまうが、精神世界で生き続けることを信じることで、本人も残された人の心も救われる。そういう意味でもスピリチュアリズムを受け入れることは何も悪いことではなく、受け入れることで広がる世界がある。

スピリチュアリズムを変に解釈し、盲信し、それを悪用する人がいることで、敬遠しがちになってしまうが、摂理を受け入れ、従い、良心を忘れずにあるがままに生きるという基本的なところに立ち返る上では、スピリチュアリズムは無くてはならない思想なのかなと思った。


大いなる力の下、生を授かり、めぐり逢い、今を生きていることに感謝し、自分の良心に従って自然に生きていこうと思える本。

 

【個人的書評】

・面白さ  :★★★★★

・為になる度:★★★★★

・濃さ、深さ:★★★★☆

・難しさ  :★★★★☆

・所要時間 :約4時間

・薦めたい人:理系の人(特に自然科学に万能感を抱いている人)、日々生きていることの感謝を忘れがちな人

 

【心に残しておきたいワード】

・『真理は時代の変遷と共に変わり得るもの』

・『人類の歴史とは、摂理が創造した宇宙の森羅万象の謎を少しずつ解き明かしながら自分探しをする旅のようなもの』

・『足るを知る』

・『今自分にできること、ささやかな利他行をやっていくという当たり前の生き方こそが人生の最大の目的』